カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルとは？
カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みは、世界中で広範に行われています。しかし、その規模や専門用語の多さから、理解が追いつかず、具体的な取り組みに消極的になる傾向もあります。
そこでこちらでは、カーボンニュートラルについて分かりやすく解説します。
カーボンニュートラルの意味
「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガスの排出量が完全に相殺され、実質的にゼロとなる状態を指す言葉です。環境省はカーボンニュートラルを「温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること」と定義しています。
政府は2020年10月にカーボンニュートラルを目指すと宣言しました。具体的には、温室効果ガスの排出量を極力削減しながら、排出量と吸収量の差を森林などの吸収手段や二酸化炭素除去技術を活用して相殺し、実質的なゼロとする計画です。ただし、完全にゼロにするのは困難な分野も存在するため、その差を補う方法を採用しています。
温室効果ガスとは
温室効果ガスは、二酸化炭素（CO2）、メタン、一酸化二窒素（N2O）、フロンガスなど、大気中に存在する気体の総称です。これらのガスは、太陽からの光を吸収・放出する性質を持ち、地球の表面を暖める効果をもたらすため、「温室効果」と呼ばれています。
温室効果によって、地球の平均気温は約14度に保たれています。もし温室効果ガスが存在しなかった場合、地球の平均気温はマイナス19度になると考えられています。しかし、温室効果ガスの濃度が増えると、地表の温度上昇が促進され、地球温暖化の要因となってしまうのです。
脱炭素
カーボンニュートラルと似た言葉として「脱炭素」があります。
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量を実質的にゼロにすることを指します。実質的にゼロとは、人間の活動による排出量を最小限に削減し、残りの排出分を植物や森林などの自然が吸収することによって、炭素バランスを合わせるという意味です。
一方、脱炭素は、二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量を完全にゼロにすることを指します。言葉の違いは、「完全に炭素を排除する」と「実質的に炭素を排除する」という点で、二酸化炭素の吸収に関する概念の有無が異なります。
ただし、環境省の資料では「カーボンニュートラル（＝脱炭素）」という表記も存在し、また一般的には、大気中のCO2を吸収する「DAC」という技術が脱炭素技術として言及されることもあります。したがって、実質的には同じ意味として捉えられることが一般的です。
脱炭素と低炭素の違い
低炭素とは、二酸化炭素の排出量を低く抑えることを意味します。かつては、「低炭素」が主要な温暖化対策のアプローチでした。
しかしながら、途上国の経済発展などの要因もあり、低炭素を目指した温暖化対策では十分な成果が得られないと認識されるようになりました。さらに、地球温暖化がより緊急かつ深刻な問題であるとの認識が高まり、現在ではより効果の高い脱炭素への方針転換が行われています。
GXとは
GX（グリーントランスフォーメーション）は、温室効果ガスの削減と国や企業の競争力強化を両立させ、経済・社会システムや産業構造の変革を促進する理念の略称です。この用語は2022年から主に日本で使用されるようになりました。
脱炭素やカーボンニュートラルは、温室効果ガスに焦点を当てた概念ですが、GXはそれに加えて経済・社会の変革を含むより包括的な概念です。
従来、温室効果ガスの削減は経済・社会システムの発展を制約する要因と見なされてきましたが、GXの考え方では、温室効果ガスの削減を経済・社会システムの発展に結びつけることを目指しています。
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