ESG経営とは
ESGとは、環境（Environment）、社会（Social）、企業統治（Governance）の頭文字を取った言葉でそれぞれを考慮した投資活動や経営・事業活動を意味しています。
現代の社会では、これまでの経済発展に伴った環境の問題や人権問題などの社会問題が顕在化しており、これらの問題に配慮した活動を行う経営のことをESG経営といいます。
ESG投資とは
ESG投資とは、ESG経営を行う企業に対して投資家たちが積極的に投資を行う動きのことを言います。
2016年に国連が提唱した「責任投資原則（PRI）」では、企業を判断する際の新たな基準としてESGからの観点を紹介しています。
これをきっかけとして企業のESGへの取り組みを考慮して投資の判断をする投資家が増え、それと共に企業側はそういった投資家から高い評価を得るためESGへの取り組みを強化するようになっています。
ESG投資の種類
ESG投資手法についていくつかをご紹介。
ネガティブ・スクリーニング
倫理的ではないものや、環境破壊に繋がるものを投資対象から除外する手法。
例えば、たばこ、アルコール、ギャンブル、化石燃料、武器などの業界が当てはまります。ESG投資の中で最も古くから行われてきた投資手法です。
ポジティブ・スクリーニング
ESG評価が総合的に高い企業を選択し投資する手法です。環境問題や労働環境などその企業が行うESGについて評価し、評価が高かった企業に積極的に投資します。
ESGインテグレーション
財務状況を示すデータとESGに関する情報を総合的に判断し、投資先を決定する手法です。
現在、投資家の間では広く普及している投資方法でESG投資の中では最も一般的な手法です。
サステナビリティ・テーマ投資
サステナビリティ（持続可能性）をテーマに設定している企業・ファンドに投資する手法です。例えば「再生可能エネルギー」や「環境に配慮した持続可能な農業」に関わる企業、「エコファンド」や「ウォーターファンド」などの投資ファンドへの投資です。世界全体では最近少しずつ増加している投資手法です。
※環境問題への取組みを判断基準に加え銘柄選定をする投資信託。
※水資源に関連する世界各国の企業株式に分散投資する投資信託。
ESG投資のメリット
ESG投資の最も大きなメリットは、長期投資の重要な判断材料になることです。
ESG評価の高い企業は、事業の社会的意義や持続可能性が高いと評価されます。普段からESGに取り組む企業であれば、脱炭素社会に向けての法律改正や規制による経営環境悪化のリスク、倫理的な問題などのリスクが少なく、長期的な事業の継続がしやすい企業であると考えられるのです。
ESG投資額
2020年時点での世界のESG投資額は、35.3兆ドルにのぼり全資産運用の35.9％を占めます。
日本では投資資産の内24.3％がESG経営の企業へ投資されており、アメリカにおいては33.2％、金額にしてなんと17.1兆ドルが投資されています。またこの投資額を2018年と比べると、日本32％、アメリカ42％の増加がありそれぞれ急増しています。
これらの数字から見る限り企業経営においてESG経営は無視できないものとなっており、企業成長や長期的な企業運営を目指すなら事業にESG経営を取り入れることが今後不可欠となるかもしれません。
さらにこれは、企業に限った話ではなく中小企業においても同じことです。
ESGを意思決定プロセスに置く金融機関が増え、融資の際の評価にも導入されていることから、中小企業においてはESG対策の遅れが大手企業との取引に響くかもしれません。
ESG経営を強みに
ESG経営は企業にとって対応するべき課題ですが、逆手にとって言えばESG経営を始めることが企業を大きく成長させるチャンスであるとも言えます。
ESGや持続可能な社会を目指す17の目標(SDGs)に沿った取り組みを始めることで、イメージアップを図ることができます。そしてそれらを推進している企業や基準にしている投資家から「長期的な成長を見込める企業」であると判断され、それが投資やビジネスチャンスに結びつくのです。
さらにESGの要素の一つである「企業統治（Governance）」には、多様性の促進や労働安全衛生の向上、人材育成等があり、これに取り組む企業では企業や投資家からの評価が上がるだけでなく社内の環境改善にも繋がります。環境が改善されることにより従業員のモチベーションアップや生産性の向上なども期待できます。
ESG経営の一環としての太陽光発電システム
ESG経営の一環としての
太陽光発電システム
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