SBTとは?詳しく解説

温室効果ガスを取り除く

近年、地球温暖化による気候変動や生物の絶滅といった環境問題が深刻化しており、世界各国では対策に向けた戦略が次々と立ち上がっています。特に2015年のパリ協定では、脱炭素やカーボンニュートラルを目指す取り組みが掲げられ、これによって「TCFD」や「RE100」など、さまざまな国際的戦略が生まれました。

本記事では、その中でも注目されているSBT(Science-Based Targets)について分かりやすく解説しています。SBTはRE100とは異なる特徴を持ち、企業が持続可能な目標を立てる際に活用されます。また、SBT認定を受けることによるメリットなども詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。

SBTとは

SBT(Science Based Targets)は、企業が環境問題に対して取り組むための目標設定の一つで、2015年のパリ協定で生まれました。この言葉は、「科学的根拠に基づいた目標設定」を意味し、産業革命以降の気温上昇を2℃未満(もしくは1.5℃未満)に抑えるという国際的な目標に合致する温室効果ガスの排出削減目標を各企業が設定することを指します。企業は5〜15年先を見据えた長期的な目標を策定することも求められています。

2022年1月11日時点で、日本のSBT認定企業は150社に上ります。世界的に見ても、アメリカやイギリスに次ぐ3位となり、環境問題への意識の高さがうかがえます。企業がSBTに取り組むことで、パリ協定の目標達成に向けた具体的な行動を進めていることが示されます。

SBTとRE100の違い

簡単に言うと、SBT(Science Based Targets)は企業が温室効果ガスの排出削減を目指す目標設定であり、RE100は再生可能エネルギーの導入を目標としています。両者とも温室効果ガスの削減を目的としていますが、SBTの目標はより高い水準を持っています。

SBTでは、温室効果ガスの排出量を以下の3つに分類します。

・Scope1:企業自体が直接排出する温室効果ガス(燃料の燃焼や工業プロセス)

・Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用による間接排出

・Scope3:企業の活動に関連する他社の間接排出

RE100はScope1とScope2の条件を満たす必要がありますが、SBTではこれに加えてScope3も考慮されます。ただし、中小企業向けのSBTではScope3は対象外となる場合もあります。

SBT認定を受けるには?

SBT(Science Based Targets)は、企業に対して2つの基準を設けています。

  1. 地球温暖化による気温上昇を2℃未満に抑える目標
  2. 地球温暖化による気温上昇を1.5℃未満に抑える目標

具体的なSBT認定要件は次の通りです。

  • 「2℃未満の目標」の場合は毎年2.5%の温室効果ガス排出削減を目指し、
  • 「1.5℃未満の目標」の場合は毎年4.2%の温室効果ガス排出削減を目指すこと。
  • 5年から15年先の目標を設定すること。
  • サプライチェーン全体の温室効果ガス削減を行うこと。
  • 認定後も毎年の排出量や対策の進捗を報告し、目標の妥当性を確認すること。

SBT認定を受けるためには、みずほ情報総研株式会社のSBT事務局に「企業版 2℃目標(SBT)の設定支援 申請書」を提出する必要があります。申請書には会社の基本情報と共に、SBTの認定状況や排出削減目標の設定状況などを記入する項目が含まれています。提出後、事務局の専門チームによる審査を通過すれば、SBT認定が完了します。

SBT認定のメリット

SBTの認定を受けることには、企業が地球を保護する活動に参加する機会が生まれるだけでなく、自社の取り組みを外部にアピールする機会も得られます。特に、2050年の脱炭素社会に向けて持続可能な企業が注目を集める中で、SBTをはじめとする戦略に賛同する企業は、社会からの信頼を得やすくなるというメリットがあります。自社の取り組みをアピールすることで、企業としての価値を高めることができるでしょう。

以下では、SBT認定を受けることによる具体的な5つのメリットを紹介します。

環境問題に貢献できる

SBTの主な目標は、地球環境の改善を図るために温室効果ガスの排出を抑えることです。気温の上昇だけでなく、気候変動や自然災害、生物の絶滅など、地球全体に影響を及ぼす地球温暖化問題に対処することが重要です。SBTを達成することで、環境問題に大きな貢献ができると言えます。

CDPで高評価を獲得できる

CDPは、国際的なNGOであり、各企業の環境情報を投資家に提供することを目的としています。気候変動などの環境変化による企業の経営リスクに対応するため、調査を行い評価した結果を公表しています。

CDPでは、さまざまな分野の質問書が用意されており、「気候変動」「ウォーターセキュリティ」「フォレスト」など、環境問題への取り組みを判断するための情報を収集しています。

企業がSBTやRE100などの環境への取り組みを行うと、CDPにおいて高い評価を受けることができます。これにより、投資家に自社の活動をアピールし、企業の環境への取り組みを強調することも可能です。

イメージ向上に繋がる

先に述べたように、環境への取り組みを行うことで、投資家や消費者への自社アピールに繋げることが可能です。特にESG投資が注目される中で、企業の持続可能な経営への取り組みは投資家にとって重要な判断材料となっています。

ESG投資は、企業の環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取り組みを重視する投資手法を指します。

ESGを重視する企業は、投資リスクが低いとされており、多くの投資家がESG投資を長期的な資産形成目的として選択しています。また、環境問題への配慮があることは消費者にも伝わり、企業のイメージ向上にもつながるでしょう。

コスト削減に繋がる

再生可能エネルギーへの転換は、企業にとってコスト削減の機会を提供します。化石燃料のような有限な資源は供給が不安定で価格の変動が激しいのに対し、再生可能エネルギーは無限に再生できるため、価格の高騰が少ないか、ほとんどないことが特徴です。これにより、企業はエネルギーコストの安定化に貢献することができます。

さらに、再生可能エネルギーの導入によって、企業は自社の電力需要を自給自足で賄うことができます。これにより、電力会社からの購入コストを削減できるだけでなく、電力供給に関するリスクも軽減できます。再生可能エネルギーへの移行は、企業の持続可能性と競争力を高めるための重要な一環となっています。

社員の士気を高められる

温室効果ガスの削減には、既存の活動を見直すことが必要です。この過程で、運用の改善や新たな技術の導入など、工夫が必要となります。これにより、環境問題への貢献だけでなく、社員の士気や発想力を高めるというメリットも期待できます。企業が積極的に環境への取り組みを進めることで、持続可能な経営の実現や社会に対する責任の果たし方を示すことができるでしょう。

SBT認定を受けている日本企業

2022年1月11日時点での日本のSBT認定企業は合計150社であり、その中にはコミット中の企業が32社含まれています。電気機器業や建設業が多くの認定を受けていることが特徴であり、特にコミット中の企業に絞ると電気機器業が目立ちます。

SBTは国際的な戦略であるにもかかわらず、日本国内においても参加することによるメリットは非常に大きいと言えるでしょう。科学的根拠に基づいた明確な目標設定を行うことで、環境問題への取り組みにおいて社内全体のモチベーションが高まる効果が期待されます。これは企業の持続可能な経営に直結し、また社会からの評価や信頼性の向上にもつながります。将来的には、SBT認定企業の数が増加していくと予測されます。

環境問題への取り組みはますます重要となる中、SBTのような取り組みが企業の発展と地球環境の保護に貢献していくことを期待しましょう。

まとめ

SBT(Science Based Targets)は、2015年のパリ協定で誕生した枠組みの一つです。この戦略は、地球温暖化を2℃未満に抑えるという国際的な目標に基づいて、企業がそれに合わせた具体的な目標を立てて実行することで、環境問題に貢献することができます。SBT認定を受けるには審査が必要であり、認定後も毎年排出量や取り組みの進捗を報告し、目標の妥当性を見直すことが求められるのが特徴です。

日本はSBTだけでなく、他の環境問題に関する国際的なイニシアチブにも積極的に参加しており、環境への高い関心がうかがえます。地球環境の悪化を防ぐためには、企業だけでなく個人の行動も重要です。環境保護に取り組むことは、地球や未来の世代のためにも欠かせない課題です。私たち一人ひとりが意識を持ち、持続可能な社会の実現に向けて協力しましょう。

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