ソーラーパネル発電のしくみ、設置について
ソーラーパネルとは
ソーラーパネルは、太陽光を利用して発電を行うためのパネル状の装置を指します。太陽電池パネル、太陽電池モジュールなどとも呼ばれることがあります。産業用の大型から家庭用の小型まで、様々なタイプの製品が存在します。
一般的なソーラーパネルは、小さな太陽電池を複数組み合わせ、アルミ枠などに収めて大きなパネルになっています。太陽光がソーラーパネルに当たると、太陽の光エネルギーを利用して発電が行われます。
ソーラーパネルの構成
・セル
ソーラーパネルには、格子状になっている部分が「太陽電池セル」と呼ばれます。 要するに、セルは太陽光発電システムの最小構成単位となります。 各セルは1枚あたり数Wの発電量を持ち、発電した電気はグリッド線やバスバー電極を通じて流れます。
・モジュール
太陽電池セルが集まって1枚のパネルになったものを「モジュール」と呼びます。 通常、1枚のモジュールには50〜70セルが組み込まれています。 モジュールにはセル以外にも表面のガラスや金属フレームなどが含まれます。 モジュール内では、セル同士をつなぐバスバー電極と呼ばれる部品が接続されています。これにより、セルから流れてくる電流は1枚のモジュールの発電量として取り出すことができます。
・アレイ
複数のモジュールを並べて、並列または直列に接続したものをアレイと呼びます。家庭用の場合、屋根に架台を使って設置したパネル全体をアレイと呼びます。
ソーラーパネルの種類
ソーラーパネルには、素材によって3つの種類があります。
・シリコン系
最も一般的なソーラーパネルがシリコン系です。シリコン系のソーラーパネルは、単結晶タイプ、多結晶タイプ、アモルファスシリコン、HIT(ヘテロ接合型)の4つに分類されます。日本の家庭用設備では、単結晶シリコンが主流です。
・化合物系
銅やインジウムなどの物質を混ぜ合わせて作られたソーラーパネルは化合物系と呼ばれます。化合物系はシリコンを使用しないため、低コストかつ省資源で量産でき、経年劣化も少ない特徴があります。
・有機系
有機系は有機半導体のpn接合を利用して光起電力効果によって電気を生成します。薄く軽量で自由に曲げることができ、ソーラーパネルに着色できるなど、製造コストが安い利点があります。ただし、有機系はまだ実用化されておらず、住宅用には使われていません。
ソーラーパネル導入のメリット
光熱費の削減になる
ソーラーパネルによって発電した電気を自家消費することで、電力会社からの購入電力を削減することができます。このようにして節電が促進され、電気代の削減が実現します。さらに、モニターを通じて発電量と消費電力量を確認できることから、効率的なエネルギー使用に対する意識が高まり、電力使用量が減ることも期待できます。余剰の電気は売電することもできるため、自宅での発電による収益性を追求することも可能です。
また、住宅をオール電化にすることで、従来ガスを使用していた部分も太陽光発電によって電気で賄えるようになります。これにより、ガス代の削減にもつながり、より環境に優しいエネルギー使用が実現します。オール電化はエネルギーの効率的な利用と、持続可能な住環境の構築に向けた一歩となります。
余分に発電した電力は売却できる
住宅用太陽光発電では、発電した電力を自家消費分以外の余剰エネルギーとして売却できる「余剰売電」という仕組みがあります。この仕組みにより、太陽光パネルで発電した電力を自宅で利用することで、月々の電気料金を削減できます。さらに、余ったエネルギーを電力会社に売ることで、毎月の売電収入を得ることができます。
余剰売電は、「固定価格買取制度(FIT制度)」という仕組みを利用して行われます。この制度では、新規に太陽光発電システムを導入した後、一定期間にわたって固定価格で売電できる特典が設けられています。住宅用のソーラーパネルでは、10kW未満の場合は10年間、10kW以上の産業用の場合は20年間の固定価格での売電が義務付けられています。例えば、2022年度の住宅用の固定価格は1kWhあたり17円となります。
固定価格買取期間が終了した後も、複数の電力会社が電力の買取を行っており、売電先を選んで余剰電気を売却することができます。ソーラーパネルの耐久性が高く、長期にわたって売電収入を得ることができるため、ソーラーパネルの設置は経済的な効果が非常に高いと言えるでしょう。
災害時など不測の事態に活躍する
近年、多くの災害が頻発しており、それに伴う停電への対策として、住宅用太陽光発電の重要性が高まっています。政府もこの問題に取り組み、住宅用太陽光発電や蓄電池の普及を推進しています。
住宅用太陽光発電設備では、停電時には自立運転専用コンセントからの電力供給に切り替えることができます。これにより、日中にソーラーパネルで発電した電気を自宅の電気製品に利用することが可能になります。災害時にも電気を確保し、生活の維持に役立つ点が特に注目されています。太陽光発電は、災害時に頼りになるエネルギー源として、ますます重要視されているのです。
環境保全への貢献
太陽光発電は再生可能エネルギーであり、資源の枯渇を心配することなく持続的に利用できるエネルギー源です。再生可能エネルギーには風力発電やバイオマス発電も含まれますが、日本では特に太陽光発電の導入が進んでいます。
ソーラーパネルの最大のメリットは、発電時にCO2を排出しないことです。CO2は地球温暖化の原因とされ、世界中でその削減が重要視されています。パリ協定では具体的な削減目標が設定されており、再生可能エネルギーの利用が世界的に注目されています。太陽光発電は家庭レベルでも導入できるため、個々の取り組みが世界規模の環境問題解決に貢献していると言えるでしょう。そのため、太陽光発電は持続可能な未来への一翼を担う重要な技術として高く評価されています。
長寿命で壊れにくい
ソーラーパネルは非常に信頼性が高く、故障が少ない装置です。耐用年数としても、通常30年以上の使用が可能です。実際に、設置から30年以上経過した後でも、一定の性能を維持している事例が見られます。
近年のソーラーパネルは、防汚や防塵性にも優れており、汚れが付きにくいように設計されています。定期点検は必要ですが、日常的なメンテナンスはほとんど必要なく、設置後は安心して使用できるでしょう。これにより、オーナーは長期にわたって効率的な発電が可能であり、メンテナンスにかかる手間やコストを最小限に抑えられるという利点があります。
多様な設置場所
ソーラーパネルは設置可能な場所が多岐にわたります。一般的には住宅の屋根が代表的な設置場所ですが、他にも地面や水面、大きな建物の屋根、駐車スペースのカーポートなどにも設置できます。これにより、様々な場所を有効活用して太陽光発電を行うことが可能となっています。
特に、遊休地を活用して売電収入を得る企業や自治体が増えており、土地の有効活用方法としてソーラーパネルの導入が注目されています。
また、農地にソーラーパネルを設置して、パネルの下で日射量を必要としない作物を栽培するソーラーシェアリングも一部で実施されています。これにより、農地の二次利用と再生可能エネルギーの共存が実現し、持続可能なエネルギーの利用が促進されています。
ソーラーパネルのデメリット
導入コストがかかることがある
ソーラーパネルの導入には、0円ソーラーなど初期費用0円・定額制のものを除いては、初期費用として一定のコストがかかります。設置枚数や環境、メーカーなどの条件によって異なりますが、一般的には100万円から300万円ほどの費用が必要とされています。
ただし、この初期費用を上回るメリットも多くあります。まず、日常的な電気代を削減できるため、導入後は長期的に家計の節約につながります。さらに、余った電気を売電することで収入を得ることができます。さらに、災害時にも備えられることから、安定した電力供給を確保する重要な「投資」として位置付けられます。
そのため、ソーラーパネルの導入は、総合的なコストとメリットを考慮すると、長期的に見て十分に有益な選択肢となると言えるでしょう。
定期メンテナンスコストがかかる
ソーラーパネルの導入には、初期費用だけでなく、ランニングコストとメンテナンスコストも考慮する必要があります。
パワーコンディショナなどの電気機器には、定期的なメンテナンスが必要となる場合があります。ただし、損害保険やメーカー保証によって修理費用をカバーできる場合もあります。
また、パワーコンディショナは約15年ほどで交換が必要になることがあります。定期点検も重要であり、適切なメンテナンスを行うことでシステムの寿命を延ばすことができます。ランニングコストやメンテナンスコストもしっかり見込んで計画することが重要です。
天気により発電量が変わる
ソーラーパネルの発電量は日射量によって影響を受けるため、雨や曇り、積雪時などの悪天候では発電量が減少することがあります。また、真夏の高温時には効率が低下し、発電量が少なくなることもあります。これらの点は注意が必要です。
しかし、実績豊富な会社に相談することで、家庭の電力消費に見合った出力量を得られるソーラーパネルを適切な方角に設置することで、発電量を最大化し効率化することができます。最適な設置方法を検討することで、可能な限り日射量を確保することができるでしょう。
ソーラーパネルの設置費用相場
設置費用相場 | 130.5万円 |
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1kw当たりの相場価格 | 26.1万円/Kw |
設置後にかかる費用相場 |
定期点検:1回あたり2万円〜3万円 故障修理:部品代と工賃で数万円〜数十万円 |
定期点検は、1年に1回程度、業者に依頼して行うのが一般的です。点検内容は、以下のとおりです。
- パネルの汚れや破損の確認
- 架台の固定具の確認
- 接続部の確認
- 配線の確認
定期点検を怠ると、故障のリスクが高まるため、必ず実施するようにしましょう。
ソーラーパネルはどのように発電する?
ソーラーパネルを構成する太陽電池は、一般的にシリコンなどの半導体材料でできています。太陽の光が半導体に当たると、日射強度に応じて光エネルギーが電気エネルギーに変換されます。シリコン系太陽電池では、n型半導体とp型半導体という異なる特性を持つ2種類の半導体が導線によって結ばれています。
太陽光が半導体に当たると、n型半導体の領域にはマイナスの電子が、p型半導体の領域にはプラスの正孔が集まります。これにより、半導体内部に電位差が生じ、電子が正孔の方向に移動します。その結果、電子と正孔の再結合が起こり、電気が流れる状態が作られます。
この現象によって発生する電力を「光起電力」と呼び、この仕組みがソーラーパネルで太陽光発電を行う原理となっています。
ソーラーパネルの発電量
ソーラーパネルの発電量は、多くの要素によって決まります。その中でも特に重要な指標が変換効率であり、住宅用太陽光発電設備では変換効率の高さが導入するソーラーパネルの選択に大きく影響します。
さらに、住宅用ソーラーパネルの発電量を考える際には、どれくらいの電力が得られるのかや自家消費分を賄えるかなども重要なポイントとなります。これらの要素を考慮して、効率的な太陽光発電システムを選ぶことが大切です。
変換効率
太陽光発電の「変換効率」とは、簡潔に言えば「太陽光を電気エネルギーにどれだけ効率よく変換できるか」を示す数値です。
変換効率が高いほど、同じ数の太陽光パネルでもより多くの電気を発電できることになります。つまり、高い変換効率を持つソーラーパネルは、より効率的な発電が可能です。
太陽光発電の評価には、主に「モジュール変換効率」と「セル変換効率」という2つの指標が使用されています。これらの指標を通じて、ソーラーパネルの性能と発電能力を理解することができます。
モジュール変換効率
モジュール変換効率は、太陽光パネル(太陽電池モジュール)の1平方メートルあたりの変換効率を示す重要な指標です。太陽光発電の性能を評価する際によく使われる数値であり、太陽光パネルの発電能力を表すために一般的に参照されます。具体的な値は以下の計算式を用いて算出されます。
モジュール変換効率=(モジュール公称最大出力(W)×100)÷(モジュール面積(m2)×1000(W/m2))
セル変換効率
太陽光発電において、製品のカタログや情報を見る際に注目される指標には、モジュール変換効率に加えてセル変換効率という項目があります。セルとは、太陽電池モジュールを構成する最小単位の要素であり、セル変換効率は太陽電池セル1枚あたりの変換効率を示します。モジュール変換効率はモジュール全体の性能を示すものであるのに対し、セル変換効率は個々のセルの性能を示す点が異なります。
セル変換効率は次のような計算式を用いて求められます。
セル変換効率=出力電気エネルギー÷太陽光エネルギー×100
発電量を表す単位
太陽光発電設備の説明には主に「kW」と「kWh」という2つの単位が使われます。これらはいずれも電力量を示す単位ですが、時間的な要素があるかないかによって異なります。主に設備の能力を示す際には「kW」が用いられます。
・kW:ソーラーパネルが瞬間的に出力する発電能力を表します。
・kWh:ソーラーパネルが1時間あたりにどの程度発電できるかを示します。
ソーラーパネルの発電量で家庭の電気は賄える?
ソーラーパネルによる年間の発電量は、通常設備利用率と呼ばれる割合で示されます。この割合は、実際の発電量が、ソーラーパネルが常に100%の出力で稼働していた場合の発電量の何%に相当するかを表しています。
例えば、1kWのソーラーパネルの場合、年間の発電量はおよそ「1kW×24時間×365日×13%=約1,138kWh」となります。
一般的な家庭の年間の消費電力は平均で約3,600kWhです。したがって、4kWのソーラーパネルを設置すると、およそ「1,138kWh×4=4,552kWh」の発電量が見込まれます。これは計算上、自家消費分をまかないつつ、余剰電力を売電できる可能性が高いことを示しています。
ただし、実際の発電量は設置地域や立地条件、ソーラーパネルの性能などによって異なりますので、参考程度として捉えてください。
ソーラーパネルの導入コスト、発電量、自家消費量、売電価格、電気料金などを総合的に考慮し、自宅に最適なサイズのソーラーパネルを検討することが重要です。
メリットが多いソーラーパネル導入
ソーラーパネルは太陽光エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換する太陽電池であり、その耐久性の高さから長期的に安定した電力供給が期待できます。住宅での導入には多くのメリットがあります。
太陽光発電システムを導入することで、環境問題への貢献が可能となります。再生可能エネルギーの利用によって、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を削減し、地球温暖化防止に寄与します。また、停電時にも自立運転専用コンセントからの電力消費が可能で、災害時の電力供給に頼る必要がなくなります。
ソーラーパネルの導入は、個人や地域のエネルギー自給自足を促進し、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となるでしょう。
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